修行の日々での気づき Vol.3
月日が過ぎていくのは早いもので、修行を終えてから1年3ヶ月が経ちました。時々可睡斎から届く通信を読むと、あの頃のことを懐かしく思うようになりました。
修行中、9時以降は各衆寮での仕事が始まります。最初は鐘司寮(しょうす)といって、お寺の山内の作務をするいわばなんでも屋さんです。境内の清掃作務、窓拭き作務、障子貼り作務、本堂の荘厳付作務、蜘蛛取り作務、ストーブ作務、なんでも作務がつけば仕事になります。なんでも屋ですが、一番お寺の作務の中では大切な仕事です。最初の頃はこの作務の終わり頃に頂くジュースやアイスの差し入れがなんと有り難かったことか。自分では買ったりできなかったので、本当に有り難くいただいていました。
修行寺の各衆寮には斎主寮(さいしゅ・住職のお付から関わること全般)、典座寮(てんぞ・食事全般)、知客寮(しか・受付御朱印全般)、副随寮(ふずい・お葬儀法事全般)、直歳寮(しっすい・伽藍全般)などと一つのお寺を運営していくのにこのように分かれており、修行僧は約3ヶ月ごと寮が代わり、それぞれの仕事を覚えていきます。
鐘司から3ヶ月が立った頃、次の配役に私は典座寮の菜頭(さいじゅう)に選ばれました。これには驚きで、大体菜頭になる方は長く修行に当たっている方が選ばれると聞いていたからで、でも、もしできるなら修行中に典座寮に入りたいと思っていた私にとっては朗報でした。典座は僧堂の中でも命を扱う場として特に大事にされる場です。
典座の菜頭の1日は、8時から1時間の間にご飯とお味噌汁約40人分作ります。9時に受付の各寮とのミーティングで山内の1日の流れと職員さんを含む食事に人数を数えます。そして11時30分までに中食を典座老師筆頭に4人で作ります。お昼の後は16時30分までに薬石を作ります。典座寮では、ある物を余すことなく使ってくれたらなんでも作ってもいいといわれていたので、もともと料理好きな私には天国のような場所で、あれもこれも勿体無いから作りたい!という気持ちになりました。お坊さんの仕事はいわれたことをそのままいわれた通りにすることを求められますが、典座寮はなんでも捨てないように工夫をしたらいいといわれて、菜頭になれて私自身僧堂での日々にバランスがとれるようになっていきました。次回はそんな中でのエピソードを。
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