筆職人

ヨーガの教室でお友だちになったのは、

この道40年の筆職人さん。


いつかこの方の筆をいただきにいこうと心に秘めていたら

年明けから続く御朱印帳の筆の感じがあまりにも手に馴染まないので
(注※わたしだけが書いているわけではありませんよ。
たまに書くと練習不足もありますがとても使いにくいの。)

筆を求め作業場まで伺うことに。


昔は日本でも手に入ったイタチのしっぽは、中国から入ってくるもの。

毛を取るのも土にまず埋めてから皮膚が腐っていくところで毛だけ取る。

この工程も海外や大量生産の現場では時間短縮で薬品を使う。

他にも馬、鹿、猪、狸の毛など、用途に合わせて筆作りをする。

職人さんだからこそ出来る
自然の摂理に沿って物作りをしていく心にはいつも感動をします。

そして知らない物を目の前で知る緊張感の中にわくわく感が伴って、
それだけで喜びに満たされます。


いろいろな筆も試させてもらいました。

とても印象的だったのは、手前のアクリル筆との違い。

見た目もの良く、安くてどこでも手に入るようになったアクリル筆は、
書いている感がとても強い。

でも、自分の文字を書いている感はとても少なく感じる。
表現したい形が表れにくい感覚をなんとなく感じる。

そして、鹿の毛の中に狸の毛が入った筆は、
なめらかなタッチの中に力を抜いた感じと書いた感を出したい時の手の感覚が
そのまま筆に表れる感じがした。

心がそのまま文字になっていく感覚。

このポイントは鹿の中に狸の毛を加えるところにあるみたい。


職人さんは道具も手に馴染むように手作りする。


毛先のない毛を手作業で取り分ける。

「わたしは近眼だからね。でないとこの作業は出来なかったよ。」

この言葉に棟方志功を思い出した。
大変な近視だった棟方志功は油絵をやめ板画に内側の美を映し出した。

対象は違えど内側の感覚で刈り取る作業に
職人の共通点を観た気がした。


細かな作業に
『肩はこらないんですか?』

「ヨーガで教えてもらった坐り方で作業をしていると全く凝らないよ。」
その言葉通り背筋の通った坐り方は安定をしている。

「それに、昼になると庭の28m先に畳をおいて弓道をする。これもヨーガで立ち方を教えてもらってからとても良い。」

内股をしっかり感じて下半身が安定しているんでしょうね。

古田さんの暮らし方に憧れを感じました。

四畳の作業場の中で40年間黙々と作業を続けるには
自分を奮い立たせていかないとけない。

家族もある。
食べていかないといけない。

「でも、これも私の代でおしまいだろう。」

どこの現場でもこの言葉を聞くのが一番悲しい。

現実筆を使う人も減る一方。

素晴らしい職人も需要が減れば幕を閉ぜざる終えない。

筆一本の中にたくさん詰まっている想い。

どうか少しでも長く続いていきますように。


古田毛筆(岐阜美濃)

名古屋やお店では倍以上の値段です。
直接連絡して、工程を観て、感動して

”わたしの筆選びを”

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