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自分の感受性くらい・茨木のり子
ぱさぱさと乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたことを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近視のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
−−−−−−−−−−−−−−−
どんなに時代を超えようと
力強く生きた人の詩は
色あせることなく
その輝きを放っている。
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