はじまりの朝



山と山の間を白い龍が散歩しているような静かな朝。


この一年家族と水面下で動いてきた二日間の儀式を迎える日がやってきた。
一年前、長年の家族との話し合いの末に私は尼僧の道も選ぶことにした。



お寺という家柄、親との関係、姉妹との関係、恋愛、結婚について、
尊敬する友人の死を通して、
継ぐということや宗派の戒律の疑問、
そして私の暮らしなど、
何度も問い続けた末に
湧き出てきたひとつの小さな想い。


儀式の前日に母が私が産まれて退院する日に
初めて会った人が尼僧さんだったのを思い出したと話してくれた。
両親や祖父母、
脈々と血は繋がらなくても受け継がれてきてここに生を受けたのは事実。
長年のトンネルを抜けて晴れ間を見つけた特別な二日間でした。



儀式は関係御寺院、檀信徒、親族を前に一日目は入寺式等、
二日目は法戦式で禅問答をしました。


多くの方の前で務め上げることができたのも、
儀式を支えてくれたお坊さん達の温かい言葉や細やかな所作を最後まで教えてもらえたお陰で、
これまでになく静かな気持ちで場に向かうことができました。
沢山の方に見守っていただき、本当に感謝です。



ひとつのことに囚われず、
尼僧という学びがひとつ増えたと思って、
色々なことをして生まれ変わり続ける時代に私たちはいるから、
もちろん大変ではあるけれど、
力抜いて自分のペースで楽しんでいきたいです。


どうかこれからも皆さんの力やお知恵をかして頂けたら嬉しいです。



晩秋の高い空に大きく深呼吸して、いい風が吹きますように。



2019/11/23.24
岩水ゆきゑ 
法名 白雲峰雪 



photo. 父が35年前住職の儀式をする時に書いた助化単を今夏書き直した時、
そして儀式当日。





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